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- 栄養ニューズ「PEN」2025年3月号
◆第26回日本褥瘡学会学術集会開催
シンポジウム9◉創傷とコラーゲンペプチドに関わる栄養研究の最前線
- 淑徳大学看護栄養学部栄養学科の飯坂真司先生は褥瘡領域の『コクランレビュー』が改定され、コラーゲンペプチド摂取による褥瘡改善効果についてのメタアナリシスが実施されたことを報告した。また、コラーゲンペプチド摂取により皮膚の角質水分量や粘弾性が改善することを示したメタアナリシスの結果を解説した。さらに、近年は創傷など皮膚障害への脆弱性が高まった状態を示すスキンフレイルという概念が提唱されていることを紹介した。その上で、褥瘡が形成される前の早い段階からコラーゲンペプチド投与などの介入を行い、スキンフレイルを予防することが重要とした。
- 京都大学大学院農学研究科の佐藤健司先生はコラーゲンペプチド摂取後の血中には、コラーゲンペプチドが分解されて生成されるプロリルヒドロキシプロリン(Pro-Hyp)が高濃度で存在することを紹介した。さらに、創傷部位でも内因性のPro-Hypが生成されているとした。さらに、これらのPro-Hypは皮膚の修復に関わる線維芽細胞の増殖を促し、創傷治癒効果を発揮することを説明した。この結果、褥瘡改善が期待できるとコラーゲンペプチド摂取による効果の機序を解説した。
- 株式会社明治グローバルニュートリション事業本部ニュートリション開発部スポーツ栄養Gの大原浩樹先生は、コラーゲンペプチドの生理活性を検討したところ、コラーゲンペプチド摂取後にPro-Hypが多量に血中へ移行すること、Pro-Hypは濃度依存的に線維芽細胞増殖を促進すること、Pro-Hypはヒアルロン酸合成酵素のHAS2発現量を増加させることが明らかになったとした。さらに、ヒトを対象にコラーゲンペプチドを摂取してもらったところ、角質水分量が増加したことを説明した。これらの結果から、摂取したコラーゲンペプチドの分解成分Pro-Hypが血中へ移行し、線維芽細胞に働き、HAS2発現を介して、ヒアルロン酸産生が促進されるため、皮膚への効果が得られるとした。
- 総合討論では、在宅の褥瘡患者でコラーゲンペプチドを使用する際のポイント、コラーゲンペプチドのがん細胞や心不全への影響、高齢患者で褥瘡改善を期待できるコラーゲンペプチド摂取期間などについてディスカッションされた。
◆第26回日本褥瘡学会学術集会開催
シンポジウム7(日本栄養・嚥下理学療法学会合同企画)「栄養のinとout(use)のバランスから褥瘡ケアを考える」
- 東京医療学院大学保健医療学部リハビリテーション学科理学療法学専攻、日本栄養・嚥下理学療法学会理事長の内田 学先生は日本栄養・嚥下理学療法学会の概要を紹介した。学会の目的については「骨格筋や運動機能、口腔機能の障害に対して理学療法を行い、死亡や要介護状態を防ぐこと」とした。その上で、嚥下障害は褥瘡とも関連しているため、日本褥瘡学会とのコラボレーションを進め、活動を広げていきたいと将来の展望を語った。
- 田村外科病院リハビリテーション科の高橋浩平先生は褥瘡改善には攻めの栄養療法、攻めのリハビリテーションが有効だが、炎症が強い場合などは注意が必要であると指摘した。攻めの栄養療法・リハビリテーションと守りの栄養療法・リハビリテーションの見極めが必要で、そのためには管理栄養士や医師、看護師などの多職種と理学療法士の情報共有が重要とした。
- 名古屋文理大学健康生活学部健康栄養学科の岡田有司先生は、褥瘡患者でもinとoutのバランスからエネルギー必要量を推定し、腸管機能を考慮した栄養投与ルートの決定が必要とした。また、お粥のゼリー化や体位保持能力の向上、食事姿勢の調整、患者の体に触れて筋肉を評価することなど栄養管理のポイントを紹介した。
◆連載エッセイ 第13回
『栄養管理における看護、看護師に今から必要なこと』矢吹浩子先生
- 看護師は日常の業務として、輸液や経腸栄養剤投与、食事介助などに多くの時間を費やしています。これらは当たり前の業務になりすぎて、「栄養管理」と捉えている看護師は少ないでしょう。そこで、これらの「業務」をどのように「看護」として捉えて実施していくか、栄養管理における看護について私見を述べたいと思います。
◆学会情報