栄養ニューズ「PEN」2026年1月号
◆第27回日本褥瘡学会学術集会 開催
シンポジウム6(日本病態栄養学会合同企画)◉専門管理栄養士による褥瘡患者への栄養介入と効果
- 武蔵野赤十字病院 栄養課の原 純也先生は、がん患者では食事摂取量低下による低栄養や化学療法の副作用による皮膚障害で褥瘡リスクが高くなるとし、バリエーション豊かな食事提供で食事摂取量の維持、向上を目指していることを紹介した。
- 京都大学医学部附属病院 疾患栄養治療部の和田啓子先生は、糖尿病患者はその病態から褥瘡が重症化しやすいが、糖尿病性腎症のリスクも高いとし、血糖コントロールと創傷治癒を意識した栄養管理を行うため、適切なエネルギーとたんぱく質の摂取が必要とした。
- 新潟市民病院 医療技術部・栄養管理科の鳥羽宏司先生は、CKD患者ではたんぱく質制限が推奨されるが、褥瘡には十分なたんぱく質摂取が求められることを指摘した。そのため、褥瘡の状態や栄養学的指標、腎関連指標をモニタリングし、個別に判断する必要があるとした。
- 東邦大学医療センター大森病院 栄養部の古田 雅先生は、肝硬変では病態そのものが高頻度にサルコペニアや栄養障害を合併しているため、褥瘡リスクが高く 、徐脂肪体重の減少が創傷治癒遅延に大きく影響することを説明した。また、浮腫・腹水に伴う体重の増減が大きく、栄養状態を評価しづらいため、初期評価の段階から低栄養とみなした栄養介入が求められるとした。
◆企業TOPインタビュー ニュートリー株式会社
- ニュートリー株式会社は、1963年の設立以来、自社ブランドの栄養食品を主力製品として手がける総合栄養療法食品メーカーで、病院や介護福祉施設、在宅看護・介護現場に向けて、病者や高齢者のための様々な製品群を提案・供給している。2017年に株式会社三和化学研究所からニュートリション事業の一部を、2019年にはキユーピー株式会社から濃厚流動食および関連商品の一部販売権を譲受した。また、2022年7月、DM三井製糖の100%子会社化による経営基盤強化を経て同年12月にはテルモ株式会社から栄養食品および一部関連製品資産を譲受し、その製品ラインナップは年々拡充を続けている。 2025年6月、新たに袴田義輝氏が社長に就任しさらなる飛躍を期す。袴田新社長に同社の今後のビジョン等について伺った。
◆第12回日本時間栄養学会学術大会開催
シンポジウム1「睡眠を科学する:時間栄養学からの試み」
- 筑波大学医学医療系の櫻井 武先生は、オレキシンの機能から、睡眠の仕組みを解説した。まず、オレキシンを産生するニューロンは大脳のLAHに局在し、オレキシンニューロン欠損マウスでは覚醒が断片化することを紹介した。このことからオレキシンがなくなるとナルコレプシーを呈すことが明らかになり、ヒトでも同様の現象が確認されている。オレキシンは覚醒を維持する働きがあるため、オレキシン受容体拮抗薬が睡眠導入剤になると説明した。
- 東京大学大学院医学系研究科の岸 哲史先生は、大規模加速度データの検討から睡眠を分析し、昼寝習慣は長期の認知機能低下に関与することや、睡眠の質は時間経過に関わらず認知機能と関連することが明らかになったとした。さらに、ウェアブルデバイスで睡眠状況を記録し、脆弱性を認めた時に受け入れ可能な介入を実施したところ、睡眠時間が延長したことを紹介した。また、低周波前庭電流刺激で睡眠時間が延長し、睡眠潜時の短縮がみられたという実験結果を示した。
- 東京工科大学医療保健学部臨床検査学科の榎本みのり先生は、遅いタイミングの夕食が睡眠に及ぼす影響については一致した見解が得られていないとし、その理由として、対象者全員の夕食時間を統一した影響をあげた。そこで、対象者の習慣的な就寝時間を基準に夕食タイミングを設定したところ、就寝1時間前の夕食では睡眠時間短縮、睡眠効率低下、中途覚醒増加がみられたことを紹介した。さらに、夕食後血糖が上昇したため、血糖変動が睡眠に影響を及ぼす可能性が示唆されるとした。
◆大会長インタビュー
第29回日本病態栄養学会年次学術集会 開催 大会長インタビュー
第29回日本病態栄養学会年次学術集会が2026年1月30日(金)から2月1日(日)の3日間にわたって、国立京都国際会館で開催される。大会長を務める菅野義彦先生(東京医科大学 腎臓内科学分野)に本大会の見どころを中心にお話を伺った。
◆訃報
長谷部正晴 先生
