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- 栄養ニューズ「PEN」2024年9月号
◆第69回日本透析医学会学術集会・総会
ワークショップ6「基礎と臨床が連携するサルコペニアの病態解明とこれからの栄養管理」
- 「CKDの骨格筋萎縮メカニズムUp-to-date」
熊本大学薬学部 薬剤学分野の丸山 徹先生はCKD患者に多いサルコペニア合併は予後悪化と関連するとし、アルブミンの酸化還元状態の評価がサルコペニアの診断マーカーとして有用であること、エダラボン搭載ナノ粒子でサルコペニア改善を期待できることを説明した。
- 「栄養代謝面からみたCKDの骨格筋萎縮メカニズム」
熊本県立大学 環境共生学部の吉田卓矢先生はCKD患者ではエネルギー代謝異常がPEW、サルコペニア、フレイルを惹起し、腸管や脳の尿毒素物質蓄積でも筋萎縮が促進されると指摘した。また、CKD患者では遅筋線維の減少がみられるが、運動によるエネルギー代謝改善は筋肉の質を向上させるとした。
- 「透析患者におけるサルコペニアと栄養障害の関連」
大阪公立大学大学院 腎臓病態内科学の森 克仁先生は透析患者におけるサルコペニアやPEW対策が重要であるとし、スクリーニングツールとしてNRI-JHが有用とした。さらに栄養障害、フレイル、サルコペニアに対する総合的な介入の必要性を訴えた。
- 「Volume Watchから算出した筋肉量は透析患者の予後因子として有用か?~総死亡と心血管死亡における解析~」
みはま病院の吉澤翔太先生は透析患者においてはサルコペニアやフレイル対策のため経時的な筋肉量測定が重要とした。そのためのツールとして、採血データから筋肉量を算出できるVolume Watchは既存の筋肉量測定法の結果と相関が高く、予後も予測できるため有用と説明した。
- 「透析患者に対するリハビリテーション栄養とサルコペニア予防」
聖隷クリストファー大学 リハビリテーション学部 理学療法学科の矢部広樹先生は低栄養の透析患者では運動療法が筋肉量増加にもたらす効果は少なく、栄養療法を付加しても期待した効果を得られないとした。その上で透析方法のHDRへの変更が筋肉量増加に有効であることを紹介した。
- 「透析患者における加齢男性性腺機能低下症とサルコペニア」
山口大学大学院 医学系研究科 泌尿器科学講座の白石晃司先生は透析患者ではテストステロンが低く、テストステロンの投与によりPEW、サルコペニア、フレイルの改善が期待できるとした。
◆第61回日本リハビリテーション医学会学術集会開催
シンポジウム37 「重症疾患患者に対する急性期の栄養管理とリハビリテーション医療」
- 「生理学から考える急性期の栄養管理とリハビリテーション医療」
横浜市立大学附属病院 集中治療部の中村謙介先生は重症患者では筋萎縮が亢進すること、筋たんぱく合成には必須アミノ酸の摂取と適度な強度の運動が必要であることに触れ、重症患者でも早期リハビリテーションおよび栄養療法が必要とした。
- 「ガイドラインから考える急性期の栄養療法とリハビリテーション医療」
千葉大学大学院医学研究院 救急集中治療医学の大島 拓先生はICU-AW抑制には急性期の栄養療法とリハビリテーションが重要であると指摘し、各種ガイドラインにおける早期の栄養療法とリハビリテーションの推奨について紹介した。
- 「急性期の栄養管理とリハビリテーション医療の未来」
日本大学医学部 リハビリテーション医学分野の新見昌央先生は早期離床やリハビリテーションはICW-AW抑制に有効とし、急性期にはリハビリテーションと栄養療法に加えて、せん妄対策や嚥下評価・訓練が必要と訴えた。
◆REPORT 第61回日本リハビリテーション医学会学術集会開催
教育講演「リハビリテーション診療における栄養療法」
- 牧田リハビリテーション病院 冬賀清香先生は本学術集会 教育講演36において、回復期リハビリテーション病棟では低栄養患者が多く、サルコペニア合併も高率で、予後悪化につながっているため、リハビリテーションとともに栄養管理を行う必要性を指摘した。さらに、令和6年度診療報酬改定でもリハビリテーションと栄養管理の一体的実施や栄養状態評価におけるGLIM基準の使用が推進されていることに触れた。同院ではリハビリテーションと栄養療法を組み合わせるリハビリテーション栄養を実施していることを、具体的な症例を提示ながら紹介した。
◆学会情報