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栄養ニューズPEN

栄養ニューズ「PEN」2025年1月号

第11回日本時間栄養学会学術大会開催
シンポジウム1◉異なる周期の栄養学について考える

  • 明治大学農学部の中村孝博先生は、地球上の生物は惑星運動がもたらす周期性の影響を受けており、よく知られている例として約24時間周期のサーカディアンリズム(概日リズム)を紹介した。さらに、女性では約28日周期の月経周期がみられるが、げっ歯類の性周期は4~5日周期で、種によって相違があると説明した。げっ歯類では体内時計によって活動にサーカディアンリズムがみられるが、メスでは性周期によって活動リズムが変化する。その変化にはエストロゲンやプロゲステロンに関わっている、とした。また、女性でも月経周期のステージによって睡眠覚醒リズムの変化が認められ、このようなリズムの乱れが月経前症候群(PMS)の原因になっている可能性があると指摘した。
  • 北海道大学獣医学研究院の坪田敏男先生は、クマにおける冬眠などの季節性の周期を例にその生態と生理を紹介した。クマは冬眠時の体温降下が小さく、中途覚醒がないなど、他の冬眠を行う動物とは異なる生理の特徴があるとした。さらに、クマは冬眠前にドングリを中心とした大量の炭水化物を摂取し、体脂肪として貯え、冬眠中は脂肪の燃焼をエネルギー源としていること、クマは夏に交尾を行うが、着床は冬眠前まで遅延し、冬眠中に出産するなどユニークな生態を紹介した。
  • 東京工業大学 リベラルアーツ研究教育院の藤平杏子先生は食欲には様々な要因が影響しており、食行動科学は心理学、生理学、社会学など多彩な領域からそのメカニズムの解明を目指しているとした。さらに、食欲の日内変動として、朝方の食欲不振、夕方の過食が知られており、食欲を増進するグレリンや食欲を抑制するレプチンなどホルモン分泌の日内変動に加え、胃の運動や味覚の日内変動が
  • 食欲に影響していることを説明した。また、食欲には季節変動があり、その要因として気温や日照時間の変動、行事など社会的環境の影響が考えられるとした。日内変動や季節変動で減退した食欲を亢進させる介入としては、食事前の温かい飲料の摂取が有効と紹介した。

◆第46回日本栄養アセスメント研究会学術集会開催
特別講演 「肝硬変における栄養アセスメント」

  • 演者の清水雅仁先生ははじめに肝硬変治療では栄養療法が重要であることに触れ、GLIM基準による低栄養の評価が予後やサルコペニアと相関することを紹介した。『肝硬変診療ガイドライン2020』では栄養療法開始の基準としてアルブミン値、Child-Pugh分類、サルコペニアの評価を推奨していることを紹介し、とくにサルコペニアを有する肝硬変患者へのBCAA投与が予後を改善したことを報告した。また、『肝硬変診療ガイドライン2020』では肝性脳症の昏睡度分類も整理されたが、今後さらに不顕性肝性脳症の把握とハイリスク例に対する早期介入が重要になると指摘した。また、肝性脳症の治療ではリファキシミンが有効性と飲みやすさの点で有用とした。さらに、不顕性肝性脳症の把握には簡易ストループテストが簡便で使いやすいとし、加えて、栄養アセスメントと栄養療法の重要性を説いた。

◆第30回日本心臓リハビリテーション学会学術集会開催
国内交流委員会企画2「管理栄養士交流会:あなたならどう使う? 心リハ指導士認定と栄養管理」

  • 名古屋ハートセンター栄養科の島田晶子先生によれば、心臓リハビリテーション(心リハ)は多職種による包括的な介入がスタンダードとなり、運動と栄養の相乗効果への期待も大きい。運動処方への適切な栄養介入には、対象者の運動耐容能や活動量を理解したうえで必要エネルギーの充足やその他の栄養素の付加を検討すべきである。心リハにかかわる管理栄養士はまだ少ないが、心リハ指導士取得の知識があれば運動時におけるより適切な栄養サポートの立案が可能となる。日本心臓リハビリテーション学会では2000年に心臓リハビリテーション指導士の資格を創設し、心リハにおけるチーム医療の円滑化を目指している。本資格取得の際には病態生理の理解や疾病管理について、運動処方や栄養管理に至るまで様々な知識の習得が求められるため、指導士資格の取得はどの職種でも包括的な介入が可能となり、心リハチームとしての強みにつながるという。
  • 島田先生は本企画の冒頭で、管理栄養士など心リハに携わる専門職の「心臓リハビリテーション指導士」取得の有効性を示し、同センターで実施しているCPX測定、管理栄養士がその測定結果を栄養面から評価する必要性、心リハにおける具体的な減塩指導として、電子式食塩センサーによる食塩摂取量評価を紹介した。管理栄養士の心臓リハビリテーション指導士取得は自らの知識向上だけでなく、患者のメリットも大きいとし、より多くの管理栄養士が取得することが望ましいとした。
  • 後半のミーティングでは、参加者がチームに分かれて、「栄養評価、食欲評価、食事摂取量把握、食塩摂取量評価の方法」「栄養状態が安定した患者の教育で困ること、心臓リハビリテーションの栄養介入を行うにあたり障害となっていること、それを打開するために必要なこと」について話し合い、結果を発表した。

◆学会情報

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